江別・大麻の小児歯科 YOU歯科 母乳はむし歯になりやすい?

 

この記事は、母乳はむし歯になりやすいので、早めに断乳した方が良いという誤った情報が流布されているのでそれについて詳しく解説したサイトです。

 

目次

 

1.歯科検診で「母乳を辞めた方がいいと言われた」がどうすれば良いか?

 

2.母乳でも育児用ミルクでもお口の中に残っていればむし歯になりやすい

 

3.むし歯のなりやすさについても母乳の方が育児用ミルクよりも優れている点

 

4.むし歯の他にも母乳の方が優れている点について

 

1.歯科検診で「母乳を辞めた方がいいと言われたが」どうすれば良いか?

 

以前には1歳6ヶ月検診において「母乳を辞めた方がいいと言われた」と言う相談がありました。

 

これはちょっと前に小児歯科と小児科の見解が異なり、小児科医は母乳はスキンシップなどの観点から欲しがれば母乳を与えても良いと言う考え方がありました。

 

小児歯科医は「この頃の母乳には栄養がない」

 

         「むし歯の原因になる」

 

と言う理由で早めに断乳させる方向で指導していました。

 

しかし、2001年頃から日本小児歯科学会も上記の考え方を改めて、小児科医よりの考え方に修正したので、場合によっては1歳6か月で断乳させると言う指導を行う歯科医もいるかもしれませんが現在では小児科医と小児歯科医の意見統一がされています。

 

その為、母乳であれば欲しがる時に与えてあげると言う考え方で良いのです。

 

しかし、現在と言えどもあまりに重度のむし歯がある場合は小児科医と言えども断乳を考慮することも考えた方が良いと考える小児科医もいます(私はむし歯を直せればそれに越したことはないと思っていますが)。

 

2.母乳でも育児用ミルクでもお口の中に残っていればむし歯になりやすい

 

母乳を飲むとむし歯になってしまうと言う誤った情報がありますが、これは寝る前(夜間と書かれていますが昼寝する前も同様です)に母乳を与えるとむし歯になり易い為に流布された誤った情報です。

 

寝てしまうと唾液が少なくなって(むし歯には唾液が重要な抑制効果を示します)、母乳はむし歯の原因である通常の糖(ショ糖)よりもむし歯になりにくい(ならない訳ではないです)糖です。

 

お子さんを寝かしつける為に母乳を与えてしまうのは良くないので、ちょっとした工夫が必要です。

 

小児歯科の立場としては、寝る前に歯ブラシ(もしはそれに準じたもの)を行うことが重要です。

 

しかし、毎回毎回に行うことは現実生活では難しいでしょう。

 

そのため、最低でも母乳を飲ませた後はお茶やお水をあげるようにして下さい。

 

そうすることによって、むし歯になりやすい部分に母乳が留まる可能性が低くなってむし歯の可能性がかなり軽減されます。

 

母乳を与えるときも色々と考えて下さいね。

 

江別・大麻の小児歯科 YOU歯科 母乳はむし歯抑制する

 

3.むし歯のなりやすさについても母乳の方が育児用ミルクよりも優れている点

 

母乳には、ラクトフェリンと言うたんぱく質が多く含まれています。

 

このラクトフェリンは、色々な細菌に対して抗菌効果を発揮します(ピロリ菌やノロウィルスなど)。

 

むし歯菌に対しても、抗菌効果があるので育児用ミルクよりもむし歯に対して明らかな利点があります。

 

母乳に含まれる乳糖に関しては、むし歯にならないとする情報もありますがこれは誤りです。

 

乳糖もむし歯になるので、母乳を飲んだ後はお口のケアを行うことが重要です。

 

4.むし歯の他にも母乳の方が優れている点とそうでない点について

 

1)育児用ミルクよりも母乳の方が優れている点

 

母乳が育児用ミルクと比較して最も優れている点は、母体由来の免疫成分であるIg Aと言う抗体が入っている事でしょう。

 

更に母乳の中には、リンパ球などの白血球も多数含まれていて、母乳自体に抗菌力があります(その為、育児用ミルクと異なり消毒する必要がありません)。

 

これは、人工乳である育児用ミルクでは絶対にありえないことです。

 

また、直接お子さんと触れ合うことができるのでスキンシップを含めたコミニケーションが図ることができることです。

 

発熱などをした時などは唇の温度が直接乳首に触れていつもと違うなどの健康状態を知ることができます。

 

また、肥満などに対しても良い影響を与えるという論文が幾つか出されています。

更に、乳幼児の死因第3位を占める乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)を減らすと言う報告もあります1

23個の論文を詳しく調べて分析したところ(meta-analysisと言う手法を用いています)、育児用ミルクは母乳に比べて2.1倍の危険度があるとの報告もあります(乳幼児突然死症候群にはその他の因子も関係していると言われていますが)1

2)母乳よりも育児用ミルクを使用した方が良い場合

 

ただし、なんでも母乳が最高かというとそうでもない場合があります。

 

それは、お母さんに感染症があればお子さんに感染させてしまう危険性があることです。

 

良く知られているのが、ATL(Adult T-cell Leukemia;成人性T細胞白血病:発症する確率は低いと言われていますが、発症したら予後不良)2と 、HIV(抗HIV薬を使用すればかなり防げますが)1でしょう。

その他にも母乳を使用しない方が良い感染症や病気(ガラクトース血症4など)がありますので、母乳で感染するリスクがある場合は育児用ミルクを使用して、母乳を使用するのは確実に辞めた方が良いでしょう。

また、母乳が出ないことによってノイローゼになってしまったり、母体の乳房や乳首に障害を及ぼす場合などは、無理矢理母乳で育てることなく育児用ミルクを検討することも大いに結構でしょう。

 

それ以外は、色々な利点が言われていますので母乳を使用してお子さんを育てた方が良いでしょう。

 

また、母乳を飲ませた後はお口のケアを忘れないようにしましょう。

 

嫌がるので可哀そうと考えるお母さんもいるでしょうが、むし歯になって痛い思いをする方がずっと可哀そうです。

 

重度のむし歯になると歯並びにも影響を与えますので、そうなるともっと可哀そうです。

 

参考文献:

 

1)McVea KL,ら:The role of breastfeeding in sudden infan death syndrome,JHum Lact,16:13-20,2000.

2)Tsukasaki Kら: Definition, prognostic factors, treatment, and response criteria of adult T-cell leukemia-lym-phoma : a proposal from an international consensus meeting. J Clin Oncol 27 : 453-59, 2009.

3Read JS:American Academy of Pediatrics, Committee on Pediatric AIDS. Human milk,breastfeeding, and transmission of human immunodeficiency virus type 1 in the United States.Pediatrics.112 :1196‒1205.2003.

4)Chen Y: Defects in galactose metabolism. In: Behrman RE, Kliegman RM, Jenson HB, eds.Nelson Textbook of Pediatrics. 16th ed.Philadelphia, PA:W.B.Saunders:413‒414, 2000.

YOU歯科 院長 歯学博士 石井 教生

 

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