先日診療が終了した後に、「自転車で転んでしまい、歯をぶつけて下の前歯と強くあたっているので見てほしい」と言う患者さんから連絡がありました。
当院は病院の電話を院長である石井の携帯に転送しているので、時間外でも診る必要がある急患の患者さんについては、可能な限り診るようにしています。
これから、一般的な歯をぶつけて時の対処方法についてお話しをします。
日本小児歯科学会 ホームページより引用
まず、走っていたり、自転車で乗っていて顔を強打して歯をぶつけてしまう場合が多いでしょう。
ここで1番重要な事は、命に関わることです。
頭などに衝撃があった場合は、まずそちらを優先して診察を受けるようにしましょう。
意識があっても、頭を打った場合は要注意です。
そしてその次に大事な事は、顎の骨を含めて骨が折れている場合などもそちらを優先し、対処しましょう。
そして、女性の場合は特に重要なことですが砂などが皮膚に入り込むとサウンドタトゥー(砂の入れ墨)と言われるように黒ずんでしまうことがあります。
その為、可能であれば生理食塩水が良いですが、無いようでしたら自分で作って洗って下さい。(皮膚科もしくは形成外科をすぐに受診できればこの限りではありませんが)。
コップ一杯の水(200cc)に小匙 1/3(1.8g)の食塩を入れると生理的食塩水(0.9%)になります。
受傷した直後は砂などは簡単に取れますから、皮膚の中に残らないように注意して下さい(コンタクトレンズ用の食塩水を購入できればそちらの方が良いです)。
そして、最後に歯のお話しになります。
完全に抜けてしまった場合は(完全脱臼と言います)、学校等であれば保存液があるのでそれに入れて早めに歯科医院を受診して下さい(時間の経過と共に歯がとれてしまう可能性が高くなってしまいます)。
もし、保存液がないようでしたらお口の中に入れてるか牛乳アレルギーがなければ牛乳もしくは先ほど作り方をお話しした生理的食塩水に入れておくと良いでしょう(乾燥するよりはずっとましです)。
また、歯の破片があるようでしたらそちらも探せる範囲で良いので探して下さい(可及的に自分の歯を使用した方が良いです)。
完全に抜けないで(亜脱臼と言います)、元の位置からずれてしまった場合は触ると痛い可能性があるので、極力触らないようにして歯科医院を受信しましょう。
脱臼してしまった場合は、麻酔をして手で元の位置を思われる場所に戻すことになります。
その後ボンドのようなもので2週間程度固定を行います。
今回うちに連絡してきた患者さんも歯をぶつけて、亜脱臼の状態でした。
次の日に皮膚科に行くよう指示をして、そちらの方は事なき結果になりました。
完全脱臼には4つの大きな問題が生じることがあります。
1つ目は、歯が吸収してしまい落ちてしまうことがあります。
2つ目は、若い人の場合は骨とくっついて(骨性癒着といいます)、周りの歯の高さと異なる状態になってしまうものです。
3つ目は、歯の神経が死んでしまって化膿してしまう可能性があることです。
4つ目は、矯正治療を行う場合もしくは行っている場合はその事で治療方針が変わることがあります(骨性癒着を起こしている場合は動かなかったりするので)。
その為、心配なようでしたら定期的に歯科医院にかかってレントゲン撮影を行って状況を把握してもらう必要があります。
亜脱臼の場合は、完全脱臼と異なり歯の神経が死んでしまって化膿してしまう可能性が高くなるという問題でしょう。
この歯の神経が死んでしまうのは、数年単位で起こることがあるので注意が必要です(歯の色が変わってきたりするとその可能性があるので注意して見ていて下さい)。
YOU歯科 院長 歯学博士 石井 教生
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