妊娠している時に、歯科の麻酔をして大丈夫なんですか?という質問を良く受けます。

結論をいうとあまり大丈夫ではありません。

江別・大麻の小児歯科 YOU歯科 妊娠中の歯科麻酔は安全なのか?

しかし、麻酔を用いないでストレスがかかる方がもっとよくありません。

また、妊娠の時期や使用する薬剤についてもいつくか注意事項があるのでそれについて今回は詳しくお話ししていきます。

まず、歯科の麻酔をする時期について詳しく解説していきます。

妊娠時にお薬に対して最も注意を要する時期は妊娠4週~7週です。

日にち換算すると妊娠28日~49日ですね。

この時期は妊娠しているかどうか、不明の期間でもある訳ですがこの期間にお腹の中のお子さんは自分自身の器官を作り上げる時期です。

お子さんはこの時期に、心臓や消化器、手や足などの重要器官が作られます。

その為、この時期に歯科の麻酔薬を含めた薬剤の使用は器官形成に影響を与える(専門用語では催奇形性といいます)可能性があるので避けた方が良いといわれています。

その他の時期としては妊娠8週~15週は男女の性器形成や三ツ口(専門用語では唇顎口蓋裂といいます)の原因となる口蓋部の形成がなされます。

最終的に妊娠4か月までは、お腹の中にいるお子さんの成長のみならず分化(複雑なものに分かれること、この妊娠4か月位の時期には最終的な性別にも分かれていきます)が行われるので薬剤の使用は極力さけた方が良いでしょう。

日本小児歯科学会は、歯科の麻酔に対して問題ないとしていますが上記の理由で安定期以外での歯科麻酔の使用は極力控えた方が良いでしょう。

ただし、極度の痛みによる睡眠障害や大きな化膿がある場合は全身に与える影響が大きすぎる為に麻酔を使用して処置した方が良いでしょう(お腹の中のお子さんにも大きな影響を与える可能性が高いので)。

次に、歯科の麻酔において一般的に使用する薬剤は2%塩酸リドカイン(血管収縮薬であるアドネラリン添加)と言う麻酔薬と3%プロピトカイン(血管収縮薬であるフェリプレッシン添加)と言う麻酔薬の2種類を使用します。

江別・大麻の小児歯科 YOU歯科 局所麻酔の写真

写真:デンツプライ社 カタログより筆者改変して引用

まず、最初にリドカインについて説明していきます。

商品名はオーラ注歯科用カートリッジもしくは歯科用キシロカインカートリッジというものです。

このリドカインは簡単に胎盤を通過します。

そして、もし多くの量のリドカインを投与すると子宮内の血流が少なくなってしまい最悪の場合はお腹の中のお子さんが亡くなってしまうリスクがあります。

しかし、これは多くの量を一度の使用した場合です。

通常の歯科治療で用いられるリドカインはカートリッジ2~3本で、この程度の量ではお腹の中のお子さんに与える影響はないと報告されています。

次に プロピトカインについて説明していきます。

こちらの薬剤は妊娠時には使用しない方が良い麻酔薬です。

こちらの麻酔薬は、リドカインよりも血圧に与える影響が少ないと考えられて使用する歯科医師が多いとおもますが、妊娠中は要注意な薬です。

プロピトカインはリドカイン同様に容易に胎盤を通過します。

そして、多くの量のプロピトカインを投与すると赤血球に影響を与え(専門用語ではメトヘモグロビン血症といいます)、それによって子宮内の血流が少なくなってしまう恐れがあります。

更にこの麻酔薬の良くない点が2つあります。

それは、プロピトカインはお母さんの体内で濃縮されてお腹の中のお子さんの方が濃度が高くなると言われています(恐ろしいですね)。

そして・・・・・

プロピトカインに添加されている血管収縮薬のフェリプレッシンには子宮収縮作用と分娩促進効果があるのです・・・・・

この麻酔薬は使用しない方が良いでしょう(特に妊娠8か月以降は絶対に使用しない方が良いです)。

これらのことから、安定期においてこのリドカインと言う麻酔薬を使用した歯科治療は今のところ問題が少ないと考えた方が良いでしょう。

しかし、医療に絶対はないので全く問題がないとは言い切れませんが安定期に適切に歯科用麻酔薬を使用すれば問題はありません。

ちなみに当院においてはむし歯治療においては、減痛治療によってほとんど麻酔をしなくても治療可能なことが多いですが・・・・

参考文献:

1)金澤 真悠子,原田 純: 妊婦・授乳婦への歯科局所麻酔への投与について:Ora Dental Tops,(16)April.2010.1-4

2)山口 晃:局所麻酔薬(含血管収縮薬)と注意すべき疾患妊娠(妊婦),歯科におけるくすりの使い方 2007-2010,第1版,デンタルダイアモンド,東京,2006,138-139

3)一戸達也:第4章 局所麻酔薬 知識の整理と使用上のポイントQ5 小児・妊婦・高齢者への局所麻酔薬の投与はどうすればよいですか?,Q&A歯科のくすりがわかる本2008(歯界展望別冊),2007,104-105

YOU歯科 院長 歯学博士 石井 教生

 

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