一般的にお子さんを身ごもった場合は、産科検診は普通に受けることは当然のこでしょう。
しかし、小児科もしくは小児歯科の立場から絶対的に歯科検診を受けて歯ぐきに問題がないかとうかチェックしてもらい、異常があったなら妊娠中でも速やかに治療を受けた方が良いです。
その理由は、歯周病になっているお母さんとなっていないお母さんとではお腹の中にいる赤ちゃんに与える影響が大きく異なるからです。
歯周病以外にも、飲酒などのリスクファクターがありますが、お母さんが歯周病にかかっている人が体重2500g以下の赤ちゃん(我々はこれを低体重児と呼びます)を産む危険度が何倍にも上がってしまうからです。
もちろん、赤ちゃんを身ごもる前から、しっかり歯科検診を受けてメインテナンスなどの処置をうけていれば別です。
しかし、受けていないなら遅すぎることはありません。
お近くの歯科医院に行って調べて貰いましょう。
また、近年高齢出産が多くなって来て、その場合お口の問題として歯周病があげられます。
若くない場合は特に注意が必要です。
さらに、通常の歯周病のほかにも妊娠している場合は、特有の歯肉炎および歯周病が知られています。
それは「妊娠性歯周病もしくは妊娠性歯肉炎」と呼ばれるものです。
これは、つわりによって歯みがきが十分行えなくなったり、エストロゲンと言う女性ホルモンが歯肉を腫れさせる作用もあるのが影響しています。
さらに、他の女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が妊娠の影響で増減が起こり、だ液の質や量が変わってしまったりします。
お母さんが歯周病になるとお子さんが2500g以下(我々はこれを低出生体重児と呼びます)で生まれてくる可能性が高くなります(これについてはこちらで詳しく解説していますので興味がある方はこちらをご覧下さい)。
後に詳しく成長について解説しますが超低出生体重児という生まれた時の体重が1000g以下という定義もあります。
低出生体重児になった場合で、特に生まれてくる時期が早すぎる場合は、正常なお子さんと比べると注意欠如多動性障害、学習障害、聴力障害などになりやすい傾向が多いといわれています(恐ろしい話ですね)。
特に、お腹の中にいる期間が28週未満だった場合の超低出生体重児は脳性麻痺になる可能性や精神発達に遅延が出るおそれ、更に視力に障害をもつリスクが高くなるなどの多くの問題が指摘されています。
その為にそのような多くのお子さんは長期のケアーが必要なるのです。
たかが歯周病とあなどるなかれ、お腹の中のお子さんに多くの問題を引き起こすことが知られています。
その為、痛みがなくても安定期になったら歯科医院を受診して必要に応じて歯周病に関するケアーを行って下さい。
YOU歯科 院長 歯学博士 石井 教生
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